NTとは
赤ちゃんの首の後ろのむくみ
妊娠13週頃までのほとんど全ての胎児には、首の後ろに液体が溜まっているのがみられます。
この首の後ろのむくみのことをNTと呼んでいます。
NTは染色体異常や心奇形を教えてくれます
NT肥厚は主要な染色体変化のマーカーと言われており、コンバインドテストで胎児染色体変化のリスクを計算する時に計測します。
妊娠15週以降では殆どの胎児でNTは見えなくなってしまうため、計測は妊娠11週から13週の時期に行います。
NTが妊娠初期の胎児に見られる理由は現在も明らかになっていませんが、リンパシステムの発達や心臓の機能、胎児の筋緊張など、様々な理由が関係しているのではと言われています。
したがって、それらの発達の遅れや異常がある場合にNTが厚くなるのではと考えられています。
NTが厚い(NT肥厚)と言われたら
時々、妊婦さんから「NTは大丈夫ですか?」と聞かれ、なぜそのような質問をするのか聞いて見ると、NTが厚いと染色体異常の可能性が高いと誰かに聞いたとか、ネットで知ったといった答えを頂くことがあります。
また、他の医療機関でNTが厚く染色体異常の可能性が高いと指摘され、受診される方も時々おられます。
NT肥厚=染色体異常というイメージが一般の方はもちろん、医療者の方にも強いんだなと感じます。
NT肥厚=染色体異常ではない
確かに可能性は高くなりますが、具体的にどのくらい高くなるのかを知ることが重要です。
可能性が高いと言われてしまうと、染色体異常と診断されたのと同じように考える妊婦さんも多いからです。
NTを正確に測ることが重要です
例えば、NTが5mm程度あったとします。
NTが5mmあれば、11週から13週のどの週数であっても検査を始めてすぐにNTが厚いと分かります。
しかし、そうであったとしても実際に染色体変化がある胎児は1/3程度です。逆に2/3の胎児には染色体変化を認めないのです。
NTの厚さから上記のような説明を受ける前提として、NTの厚さを正確に計測されることが必要です。
NTの計測をするためには適切なトレーニングを受ける必要があり、トレーニングを受け、NTを正確に計測できる検査者に対してはイギリスの財団法人であるFetal Medicine Foundationより認証が与えられています。
染色体異常ではない要因でNT肥厚がみられることも
また、NT肥厚は上述しましたように様々な理由によってみられる可能性があり、したがって、染色体変化とは関係の無い、解剖学的な変化が原因の場合もあります。
そのため、NT肥厚が認められた場合は解剖学的な評価も適切に行われることが必要です。
NTの専門家に検査してもらうことが大切です
NT計測を希望される方はNT計測の認定を持ち、そして、妊娠初期の解剖学的評価に精通している医療者から検査を受けることをお勧めします。
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