染色体異常
染色体異常は、性染色体を含むすべての染色体で起こります。
染色体異常には、いくつか種類があり染色体数に変化がある(数的異常)場合と染色体の形に変化がある(構造異常)場合がございます。
数的異常
数的異常の場合、本来2本のペアである染色体が3本になってしまうトリソミーや、1本しかないモノソミー、それぞれの染色体が3本あって全体で69本になる三倍体(triploidy)などがございます。
構造異常
構造異常とは、染色体の一部に異常がある場合です。
ある染色体の一部もしくは全部が別の染色体にくっついているもの(転座)や、ある染色体の形が変わっているもの(欠失・重複)などがございます。
染色体異常は出生の前後にリスクを伴うことに
染色体異常を持つ妊娠は分娩前に流産や子宮内胎児死亡となってしまうことがしばしばあります。
また、分娩となった場合は、赤ちゃんに心臓などの解剖学的異常や精神発達遅延などを生じることがあり、出生後すぐに治療が必要であったり、発達支援が必要となることがあります。
染色体異常の原因
染色体異常の中の数的異常の多くは、「妊娠に対する年齢の影響」で述べたように、減数分裂の異常という突然変異が原因です。
したがって、その場合は、妊婦さんやそのパートナーに染色体の異常があるわけではありません。
一方で、症状はでないけれども、染色体に構造異常がある場合(例:均衡型転座)があります。
そのような構造異常を胎児の両親が持っている場合、胎児には解剖学的な異常などが現れる染色体異常(例:不均衡型転座)を起こすことがあります。
このような場合、上述しましたように流産となることもしばしばあります。
そのため、妊娠はするけれども流産を繰り返してしまう不育症の妊婦さんへの検査として、妊婦さん及び妊婦さんのパートナー自身の染色体検査が項目に入ってくることがあります。
胎児の状態を継続的に検査・確認しましょう
染色体異常といっても、持って生まれてくる胎児の様子は様々です。
同じ状態であったとしても特に分娩後すぐに治療が必要ない場合もあるでしょうし、分娩後早期になんらかの医療処置が必要な場合もあります。
胎児が適切な周産期ケアを受けるためには、適切な分娩施設での分娩が必要です。
そのために、羊水検査などによる診断だけではなく、超音波(エコー)検査で胎児の状態を確認することがとても重要な情報となります。
染色体異常の治療について
染色体異常を治す根本的な治療は現在のところありません。
染色体異常によって引き起こされる解剖学的異常やその他の様々な症状に対する外科的、内科的な治療が中心となります。
遺伝子異常
染色体の中にある遺伝子が変化する場合、遺伝子異常と言います。
遺伝子の小さな変化で起こりうるため、染色体の構造には影響は出ない為、特別な遺伝子検査が必要になります。
異常がほとんど現れない場合もあれば、鎌状赤血球貧血、嚢胞性線維症、筋ジストロフィーなどの重い病気を引き起こす突然変異もございます。
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