自費・保険適用について
日本では低用量ピルはOCもしくはLEPと呼ばれています。OCは主に避妊目的に使用するもので、自費診療となります。
一方でLEPと呼ばれている薬剤は月経困難症や子宮内膜症のような疾患の治療を目的として使用される薬剤であり保険診療となります。
また、LEP製剤であってもOC製剤と同様に卵巣からの排卵は抑制されますので内服中は妊娠をすることはできません。
処方に関する費用のご案内
価格は全て税込みとなります
初めて当院で処方される場合 | 自費初診料(3,300円) +ピル開始説明料(1,500円)+お薬代(2,200円) |
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処方の継続をされる場合 | ピル再診料(550円)+お薬代(2,200円) |
血液検査を行う場合、別途3,300円がかかりますので、あらかじめご了承ください。
避妊について
OCは可逆的な避妊方法の中で最も優れた避妊方法であり、安全性も高いと言われています。
可逆的の意味は、OCの服用を中止することで妊娠はまた可能となるという意味です。
効果が高く手軽、安全性も優良
100人の女性が1年間OCを使用した場合に避妊に失敗する確率は、日本からの報告では0~0.59とされています。
これはコンドームや殺精子剤、リズム法などよりも効果が高く、避妊手術やIUDに匹敵すると言われています。
その為、効果も高く、簡便さや手軽さからOCは優れているといえます。
また、大規模なコホート研究でも長期服用での死亡率は変化がないもしくは低下すると証明されており、安全面でも優れていると言われています。
生理痛などへの効果
月経困難症の大きな症状である生理痛を軽減させる効果があることが示されています。
月経困難症の治療に対して低用量ピルを使用する場合は保険診療の適応となるLEP製剤を使用します。
また、女性ホルモンのエストロゲンは内膜を増殖させる働きがありますが、低用量ピルに含まれているエストロゲン物質は卵巣からでる値よりも低いため、月経血の量が減ることも期待されます。
その為、過多月経の改善に対しても効果があると考えられます。
選べる投与方法
LEP製剤では28日間の周期投与と最大120日間連続で内服できる継続投与とがあります。
毎月の月経があったほうが安心される方は周期投与を、なるべく月経がないほうが楽と感じる方は連続投与を選択することができます。
月経前症候群(PMS)、月経前不快気分障害(PMDD)への効果
ドロスピレノンを含むLEP製剤はPMSやPMDDの症状改善に効果が期待できると考えられています。
ドロスピレノン抗ミネラルコルチコイド作用や抗アンドロゲン作用を持っているため、浮腫、体重増加、乳房痛、攻撃性・過敏性などの月経前症状を改善すると考えられています。
また、抗アンドロゲン作用のため、多毛やニキビで悩まれている方にも適している製剤と考えられます。
感染予防は必要
低用量ピルそのものには感染予防効果はありません。その為、性感染症を防ぐためにはコンドームの使用が必要です。
マイナートラブルに関して
一部の方はOC/LEP内服によって軽微な副作用を経験することがあります。
不正出血や嘔気などが出ることがあります。
その場合は3周期ほど内服を継続することで軽減したり、ホルモン組成や含有量の異なる他の製剤に変更をすることで、解決されることが多いとされています。
また、OCを内服すると太りやすいと思われている方もいるかと思いますが、これに関しては大規模な疫学的研究により、否定されています。
OC/LEP製剤内服による静脈血栓症について
低用量ピルの重要な合併症として静脈血栓症が知られています。
実際には妊娠中の方が血栓症にを発症する頻度は高く、低用量ピルの内服が原因で発症する頻度は非常に少ないといえます。
しかし、場合によっては重症になることもありますので注意しておくことが必要です。
しっかりと問診を行う
血栓症を予防するためにはまず詳しい問診が必要です。
それぞれの女性に血栓症のリスクとなるようなこれまでのエピソードや既往、そして、ご家族の既往なども聞いていきます。
また、血圧測定や身長体重の計測を行い、安全に処方できるかを確認します。
血栓症の頻度はエストロゲンの量や強度にも関係していると言われています。
低用量ピルは元々エストロゲンの量は少なく作られていますが、現在はULDと呼ばれる、よりエストロゲンの量を少なくしている製剤もあります。
不正出血をより起こしやすいと考えられますが、慎重投与が必要な方に対してはULDの製剤から開始してもいいかもしれません。
自覚症状をチェックしましょう
OC/LEP製剤を内服されている方は自分で自覚症状がないかどうか、自覚症状があったときには適切に医療機関を受診されることが大切です。
頭文字をとってACHESと言われていますが、以下のような症状を感じた場合は、速やかに医療機関を受診されるようにしてください。
- 腹痛(abdominal pain)
- 胸痛(Chest pain)
- 激しい頭痛(Headache)
- 見えにくいところがある・視野が狭い・失神・痙攣・意識障害(Eye / speech problems)
- ふくらはぎの痛み、むくみ、発赤、把握痛(Severe leg pain)など
また、そのような症状を感じ、医療機関を受診された際には、低用量ピルを内服していることを必ず、医師に伝えるようにしてください。
癌に対する影響
卵巣癌、子宮体癌、大腸癌に対してはリスクを低下させると言われています。
乳がん卵巣癌症候群の家系でBRCA遺伝子に変異を持っている方に対しても低用量ピルを内服することでリスクが低下したという幾つかの報告もされています。
子宮頸がんは検診・予防をしましょう
子宮頸がんに関しては明らかなリスクの上昇は認められていませんが、服用が長期になるほどリスクは上昇すると言われています。
その為、定期的な子宮頸がん検診は大切です。
子宮頸がんの原因の90%以上はヒトパピローマウィルス感染によるものですので、コンドームなどを使用するようにしてください。
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