妊娠中の運動は心と身体の健康に有効です
妊娠中の運動は過度の体重増加を予防し、多くの妊婦さんが感じる腰痛や肩こりなどのマイナートラブルを緩和し、また、睡眠障害を改善する傾向があるといわれています。
そして、定期的な運動を行うことで妊娠中の様々なストレスを軽減し気分転換につながります。
さらに、筋力を維持するだけではなく代謝の亢進や改善にも寄与するため、まだ十分なエビデンスは得られていませんが、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群の発症リスクを低下させるという報告もされています。
また、合併症のない妊婦にジョギングやウォーキングなどの運動負荷を与えたあと、胎児に影響するかどうかを調べた研究では胎児への悪影響は報告されていません。
運動の種類によりリスクがあります
一方で、妊婦さんは妊娠が進むことでお腹も大きくなり、体重が増え体の重心の位置も変化してきます。
その反面、妊娠中はホルモンの影響で諸関節の弛緩性が増大します。
そのような背景があり、諸関節の損傷、転倒、腹部打撲のリスクが妊娠していない女性と比較し、潜在的に高いことが考えられます。
そのため、運動が可能かどうか、かかりつけの医師に相談し診察を受けた上で、開始するようにされてください。
日本産婦人科学会の産科診療ガイドラインでは、重篤な心疾患、呼吸器疾患、頸管無力症、持続する性器出血、前置胎盤、低値胎盤、前期破水、切迫流・早産、妊娠高血圧症候群を指摘されている方には種類にかかわらず妊娠中の運動の開始や継続は勧めないとしています。
上記の疾患や症状を持っていない妊婦さんが行う運動として適切な運動としては有酸素運動が望ましいとされています。
避けるべき運動
また、転倒や落下、接触の危険がある、または競争的なスポーツ、仰臥位(仰向けに寝た状態)を保持したり、長時間立位を保ったりすることは避けるべきと考えられています。
運動の強度に関しては、運動中に負担を感じることが無く会話を続けられる程度とされています。
妊娠中のスポーツ(参考文献1より引用)
以下の妊娠中のスポーツの表を参考にしてください。ご自身の症状や妊娠経過に十分に注意し、健康的な妊娠生活を過ごしましょう。
種目 | 備考 | |
---|---|---|
好ましい スポーツ |
|
|
好ましくないスポーツ |
|
接触や外傷の危険が高い |
危険な スポーツ |
|
転びやすく外傷を受けやすい |
参考文献
- 1 日本産婦人科学会・日本産婦人科医会 編集・監修、産婦人科診療ガイドライン産科編2020、日本産婦人科学会 2020
- 2 藤井知之 編、週数別 妊婦検診マニュアル、医学書院 2018.




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