当院では妊娠後期(30週前後)にも胎児ドック(胎児超音波検査)を行なっています。
妊娠後期では胎児の成長に問題がないかどうかに関してと、妊娠中期の胎児ドックでは確認されない胎児の構造異常に関しても確認していきます。
妊娠後期になって明らかになる異常もあるため、検査は大切です
一般的に、妊娠中期までは胎児の成長の異常はわからないことが多いと言われています。
そのため、妊娠の後期に胎児の成長に異常がないかどうかを確認していくことは大切です。
もし、胎児の成長に異常が疑われる場合、羊水量に問題がいないかどうか、胎児の動脈計測や母体の子宮動脈の計測を行い、胎児の健康に問題がないかどうかを確認していきます。
また、構造学的な異常がないかどうか確認し、遺伝学的な背景がないかどうかも確認していきます。
胎児の構造異常の多くは、妊娠初期と中期で確認することができますが、一方で、妊娠後期になって明らかになる構造異常もあります。
胎児の構造異常の14%程度は妊娠後期の胎児超音波検査で見られたというデータも出ています。
腸管の閉塞性病変や水腎症などは後期で明らかになってくることも多く、また、胎児の腫瘍性病変も主に妊娠後期に検出されます。
心臓の構造異常も妊娠経過中に症状が増悪してくる場合もあり、妊娠の前半では明らかな形の変化が見られなくても、妊娠後期になって明らかとなる場合もあります。
そのような胎児の状態を確認することで、適切な分娩施設を選択することが可能となります。
初期・中期と組み合わせることで適切な胎児評価ができます
妊娠後期では中期と比較して胎児の周囲のスペースは小さくなっていますので、四肢の観察が困難なことがあります。
また、うつ伏せの状態でいることも多いため、顔の観察が難しかったり、逆に仰向けの状態でいる場合は脊椎の観察が難しいこともあります。
全ての構造評価をすることが難しいことが妊娠後期での胎児超音波検査の限界と言えます。
そのため、妊娠初期・中期・後期の胎児超音波検査を組み合わせることが胎児の構造を適切に評価するためには肝要と考えています。
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