子宮筋腫とは
子宮筋腫は、子宮の筋肉からできる良性の腫瘍です。成人女性の4人に1人は子宮筋腫があると言われています。
命にかかわる病気ではなく、多くの場合は経過観察のみです。
しかし、何らかの症状がある場合は治療が必要になることがあります。稀に悪性腫瘍である子宮肉腫との見極めが必要になることもあります。
自覚症状があれば受診しましょう
子宮筋腫は良性腫瘍ですが、重症の貧血や生理痛の原因となって日常生活に支障をきたすことがあります。
症状の変化が緩やかなため、気づかないまま悪化してしまうことも少なくありません。
生理の量が多かったり(例えば、夜用ナプキンを就寝中に交換する必要があるなど)、階段の登り降りで最近息切れをするようになったなど、何らかの症状を自覚するようであれば受診するようにしてください。
また、子宮筋腫は大きくなると骨盤の中の臓器を圧迫しますので最近頻尿だとか、慢性的に下腹部の鈍痛があるなど何らかの症状を感じるようであれば受診するようにしてください。
不妊の原因となることも
子宮筋腫は不妊の原因となることもあります。
受精卵が着床する内膜を強く圧迫するようなった場合は着床を妨げる原因となるかもしれませんし、子宮筋腫の場所と大きさによっては卵巣と卵管の位置が変化し、卵子が卵管に入っていくことができないかもしれません。
近々結婚するとか、そろそろ妊娠したいと考えている方は、一度婦人科検診を受けられてはいかがでしょうか。
子宮筋腫の治療について
※当院では手術は行いませんので、手術も選択肢として考慮される方は他院へ紹介させて頂きます。
1. 手術
子宮筋腫核出術
子宮筋腫のみを摘出する手術です。子宮を残したい女性に対する手術です。
筋腫へのアプローチの仕方は体への負担が少ない順に子宮鏡、腹腔鏡、開腹の方法があります。
どの方法が可能かは子宮筋腫の場所と大きさによって変わります。
手術をされる医療機関で相談してください。適切に筋腫核出ができれば症状は改善します。
また、手術後は半年から1年後には妊娠可能ですが、分娩は帝王切開となることが多いです。
子宮筋腫を核出しても、将来的に再発する可能性も高く、再手術が必要となる場合もあります。子宮が残っていますので頸がん検診は引き続き必要です。
子宮全摘術
子宮を摘出する手術です。
子宮の大きさによりますが、主に腹腔鏡と開腹の2通りの方法があります。
女性ホルモンは卵巣から放出されます。子宮からは女性ホルモンは出ませんので、子宮摘出をしても卵巣が残っていれば、理論的には女性ホルモンの状態は変化せず、更年期様症状が強く出ることはありません。
今後、妊娠予定のない女性に対して適応となります。子宮頸部まで摘出する場合は、手術後の頸がん検診は不要となります。
2. 子宮動脈塞栓術
カテーテルを使用した治療です。
子宮への血流の80%を担っている子宮動脈に塞栓物質を詰めて子宮への血流を減らすことで過多月経の症状を改善させます。
子宮の大きさ自体は変化しないこともありますので、圧迫により症状が出ている場合は効果として不十分となる可能性があります。
また、子宮内膜に飛び出しているような粘膜下子宮筋腫では塞栓術後に感染を起こすリスクが高くなるため、適応とならない場合があります。
治療を希望される医療機関でご相談ください。
3.内科的治療
ホルモン剤を使用し、ホルモンの値を閉経後と同じような状態にします。
それにより、出血も止まりますので貧血などの症状は軽快します。また、子宮は小さくなりますので、手術の前に内科的な治療を行うことで手術がしやすくなるメリットがあります。
また、内科的治療を閉経となるまで行う逃げ込み療法があります。
逃げ込み療法は長期間続けると骨粗鬆症の原因となり得ますので使用できる期間は半年となります。
その間に閉経しなければ半年休薬し、再度半年逃げ込み療法を繰り返します。
閉経はおよそ50歳と言われていますが、人によってばらつきがあり、治療の確実性はその他の治療法と比較して劣ります。
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